現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
アパートの前に着いた。
降りようとドアに手を掛けたところで、岡田さんが声をかける。

「じゃあ、また今度連絡する。昨日たくさん飲んだしね、今日はゆっくり休むといいよ。しつこいようだけど、携帯の電源は入れといてね。繋がらないようなら、家に押し掛けるから」

またさりげなく、恐ろしいことを言っていやがる。

アパートに来られたら最悪だ。
岡田さんの家を見てしまったから、なおさら見せることは出来ない。


なにせ私の部屋は異次元空間だ。

掘り出せばいつのかわからない化石のようなものが発掘されるくらい、散らかっている。
冷めてしまうのは仕方ないにしても、人として軽蔑されるのは嫌だ。

「分かりました。入れておきます」

「良かった。じゃ、またね。来週は水曜日に工場に行くから」

そう言って何故かウインクをすると、颯爽と走り去っていった。

ウインクって、またベタなことを。
本当になんなんだ、あの人は……。

と思うのだが、知らずと顔は赤くなっている。
火照る顔を両手で押さえ、自室へと戻った。

部屋の中は、乱雑としている。

自分が片付けないのが悪いのだが、岡田さんの部屋を見てしまった後では、あまりの酷さに肩を落とした。


結局その日は、一日部屋の掃除に明け暮れた。


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