未来劇団エレイザ 二次創作集
アユミの過去
「私たちが変われば、未来も変わるよ」

そう聞こえた気がしたと、カムイは言ってた。
エレイザと話していた時に不思議な存在を感じて、聞こえたらしい。
私やサクラには何も聞こえなかったし感じなかったけど、カムイの目は嘘を付いている感じには見えなかったから私も信じる事にした。

私たちが変われば、未来も変わるーか。

確かにそうだ。
あの日村を襲われてカムイ達に会うまでは、私は何も出来なくてただ破壊された村で1人で守ろうとしていただけだった。
お父さん譲りの馬鹿力で1人くらいなら追い払う事が出来たけど、やっぱり傷付けるのは怖くて嫌いで村の奥で隠れてた。
震えながら恐怖を忘れようと、お母さんが家に残した本を読んで過ごしていた、時だった。

またバルタザールの奴らが襲い掛かってきた。
私の村は水が豊かで、草木も花も生えていて本当に美しかった。
村の奥の泉の力のお陰らしい。
破壊されてからもその力は消えてなくて、バルタザールはそれを狙っていた。
私は泉を守りたかったけど、やはり怖くてもう駄目だと思った時にカムイ達に出会った。

カムイともう1人、アニキと呼ばれた人の2人が戦い、バルタザールの奴らは去っていった。
でも当時の私にとったらカムイ達も怖い存在でしか最初はなく、一線引いていた。
「あ、ありがとう…ございます…でももう…」
その時にカムイが熱を出して倒れてしまい、私は戸惑いながらも家のベッドで介抱してた。

介抱しながらアニキさんから外の世界の状況や、今まで出会った物の場所について教えてくれた。
私の知識は本やお母さん達から聞いた情報しかなく、初めて聞いた単語にワクワクしてカムイが隣で寝ているのも関わらずどんどんアニキさんに質問した。(あはは当時の私、酷いよね笑)

そして2、3日してカムイも元気になりまた旅に出掛けていった。
その2、3日の間に抱いていた恐怖はすっかり消えて、別れるのが辛くて大泣きしてしまった。
「イヤだイヤだ行かないでっ…まだここにいてよぉ…」
「済まないアユミ。離れたくないのは俺達も一緒なんだ…。」
「じゃあ…っ!」
「アユミ泣かないでくれ…オレ達は旅をしてそしてバルタザールを倒していかないと…」
カムイも泣いていた。
「あぁカムイの言う通りだ。でも安心してくれ、またここに戻ってくるから、な!」
『え?』
私とカムイが同時に呟いた。
「ほんと?…本当にここに戻ってきてくれるの?…これでお別れじゃ、ないの?」
「ああ本当だ。アユミも俺達の仲間だからな。仲間は仲間の元に帰らないといけないだろ?」
そうアニキさんは私達に問い掛けると、カムイは何度も頷いた。
私も嬉しくてまた涙を流しながら何度も頷いた。
ああもう私は1人じゃないんだって。

そしてやっぱり泣きながら見送った。
あの時カムイ達が来て、恐怖に負けずにカムイを介抱して話を聞いて分かり合えたから、1人じゃなくなったんだ。
『私たちが変われば、未来も変わる』
私は当時の事を思い出して、この言葉をやっと理解出来た。

ああこの後私がカムイと旅をするのはもう少し後の話なの。
この続きはまた今度ね。



《fin》
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