春の扉 ~この手を離すとき~

臨時講師

“勉強会”が終わり、わたしはみんなと別れると家に帰るフリをして通学路を早足で学校に向かった。

机の中に、明日のテスト教科の参考書を置きっぱなしにしていることに気がついたから。


けっこう遅くなっちゃったな。

スマホの時間は18時を過ぎていた。


12月の日没は早いからこの時間は夜と変わりなく暗い。街灯は灯っているし、車道を行き交う車はライトをつけていた。

さすがにこんなに暗くて寒い中、みんなに着いてきてなんて言えるわけもなく。

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