春の扉 ~この手を離すとき~

開いている入り口から中を覗くと、さっき話題にあがったばかりの臨時講師、春永 咲久也先生が一人でバスケットボールをドリブルしていた。


リズムよく弾かれるボール、なびく髪に、雑にまくられたYシャツから見える筋肉質な腕。

教室での穏やかな表情とは全然違って、ゴールリングを見据える真剣な眼差し。

そして、軽やかにジャンプして、意図も簡単にレイアップシュートを決めた先生の姿に、わたしは引き込まれていた。
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