水玉模様
「いいもん、お昼におごり返してもらうから。」

「えーっ、もうイイじゃんッ。」

あたし達は軽くテンション上がりぎみのまま、担任が入ってきてもコソコソ笑っていた。

あれー…?

今日、篠田くんいないじゃん…?

今更だけど、篠田くんが視界の中にいない事に気がついた。

その答えは、担任の口からでてきたのだった。

「あー…、今日篠田は遅刻で、他は…全員いるな。」


遅刻…。

どうしたんだろ…?

でも、休む訳じゃないんだ―――…。

あたしは、今の顔を見られない様に、下を向いた。

篠田くんの存在を感じる事のできないこの教室は、ただの箱も同然。

必然的に、居る意味さえも…なくなる。

でも…。

遅刻だけど…来る。

何分後?

何時間後?

わからないけど、篠田くんが来たら、きっとこの箱はもっと色味を増していくーーー…。

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