吐磨き《番外編連載中》
「うわっ、なにそれキモッ!」

あたしはまだなおグリーンティをカラカラとかき混ぜながら答えた。抹茶が全然混ざってくれないのだ。

てか、喉を貫通するって......それ、ギリギリのラインだからねw

「で、これには続きがあって。
呪文を唱えてからは絶対、喋っちゃいけないの。喉を切り裂かれちゃうからね」

うへー...。喋っちゃいけないとか、地獄かよ!

「そんなの無理無理!人間たるもの、喋れないなんて地獄より辛いよ!

そもそも、その呪文唱えた時点で死ぬじゃん!喋ったら切り裂かれちゃうし、喋らないで歯ブラシを使い続けても死ぬじゃん!」

「そうだよねー...やっぱ嘘だよね?」

「うん。嘘に決まってるじゃん!せをは、そんなの信じるとか、高校生として駄目だって〜」

あたしはやっと、顔をあげた。

せをはの顔はとても真剣で、顎に手を添えている。

なにかを考えているの...?

なに、なんなの...。

すると、カサカサになった唇を僅かに動かし、せをはが喋り始めた。

「......数ヶ月前にね、先輩からこの話を聞いたの。それであたしも、『嘘に決まってるじゃないですか』って笑い飛ばしたの。そしたら、先輩、機嫌を損ねたらしくて、『じゃあせをはがこの都市伝説を実行して、嘘だってことを確かめろ』って言ってきた。

...それからあたし、ずっとこの歯磨きを続けてるの。」
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