二度目は誠実に
「確かにやってから付き合おうというのは誠実ではないな。でも、谷のことは好きだよ。どのくらい好きかと聞かれたら程度はまだ低いほうかもしれないけど、この世の中にいる女性の誰よりも好きだとは言える。他に好きな人はいないからね。それじゃ、付き合うことに納得できない? やっぱり俺とは無理?」


「大石さんに限らず、私は今好きな人はいないし、誰かと付き合うことは考えてもいないです」


「何で? 彼氏が欲しいとは思わない?」


年齢のことを言うのは失礼なことになるから、敢えて言わないが、結婚をしてもおかしくない年齢である。お互いに。


「絶対欲しくないというわけではないですけど、そういうのって、欲しいではなくて、やっぱり好きという気持ちとか、あと縁というか……そういうのがないと付き合いたいと思えないです」


「なるほどね。谷の気持ちは分かった。多分今、俺が何を言っても谷の心には響かないんだろうね。うん、今は諦めるよ。でも、俺はいい機会だから、谷との距離を縮めるようにするね。だから、谷も先輩としてじゃなくて、男性として俺を見るようにしてくれないかな?」
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