二度目の初恋



「大丈夫だって。俺の頭の中にはアンタの初恋卒業させる段取りはできているから」

家政婦初日の帰りの車の中で偉そうな事を言ったが

実際はなんの段取りも出来ていないかった。

だがその直後、俺たちの前に亮太と陽子さんが現われた。

俺は傷心の円に幸せそうな2人を見せたくなく咄嗟に抱きしめた。

そして驚く亮太に

「お前の結婚式に出れて良かったよ。だって・・・円と運命的な出会いが出来たんだから。な?」

と言いながら円にも敢えて頷かせるように言った。

円は戸惑いながらも頷いたが緊張していたのかはたまた急に抱きしめたからか

ドキドキが伝わってきた。

だが、この行動が何か役に立ったとは思えなかった。

それは亮太たちが家に入り俺と円だけになったときに俺に見せた表情で

すぐにわかった。

諦めたくても思い続けた年月が円を苦しめ・・・先に進めないのだ。



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