二度目の初恋
「円ごめん!」

手を合わせながら申し訳なさそうに近づいてきた。

「時任さん」

ホッとした表情に時任さんは亮太達がいることに気付いた。

「あれ?お前達どうしたの?」

「どうしたって・・・聡を待ってたんだよ。スマホにかけても出ないし・・・」

口を尖らせながら話す亮太に時任さんは悪気など全くなさそうに謝った。

「ごめん。で?なんかあった?」

「いや、せっかくだから円と聡をさそって4人で飲みにでも行かないかな~と思ってたんだ」

「飲みにね~」

時任さんはちらりと私を見て含み笑いをした。

どうせ私が行きたくないと感づいたからだろう。

時任さんは私に近づくと腰に手を回してきた。

驚いて回した腕に視線を落とす。

「折角の誘いは嬉しいんだけど・・・俺たちこれから行くところがあるんだ」

行く予定など全くないが時任さんが気を利かせてくれた。

亮太は私と時任さんを見ながら顔をにやつかせた。

「な~んだ。そういう事か・・・」

予想通り完全に勘違いしている。

いくら時任さんがいたとしても

とてもじゃないが4人で飲みに行くだけの心の余裕がない。

下手すると奥さんの陽子さんに亮太への気持ちを感づかれるかもしれない。

「ご、ごめんね」

私が手を合わせ申し訳なさそうに謝ると亮太は私に気をつかってか

「頑張れよ」というと陽子さんと手をつないで行ってしまった。
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