ダブル王子さまにはご注意を!
セレブ様にはかないません





『はぁあ!? イケメン二名と同棲してるうぅ?』


……スマホのスピーカーが震えるほどの声のデカさ。ちょっと耳が痛くなりますよ、香織さんや。


同居を始めて7日目。ようやくフリーの休みが明日という日の夜、明日会う予定の香織とLINEをしてたんだけど。現状を切り出したら、ものすごい勢いで食いついてきて。遂には無料アプリで通話してきた。


「ていうか、同棲じゃなくて同居……でもなくて居候! あくまでも手伝いの便宜上住んでるだけだから」


同棲なんてロマンチックなイベントで無くて申し訳ありませんが、彼らとは1ミクロンたりとも甘い空気になったことはございませんので。


『え~でもさ、ハリウッド男優並みのイケメン様なんでしょ。少しはときめいたりしないの?』

「別の嫌な意味でのドキドキはあるけどね……ヒヤヒヤしたりスリリングな意味でね。恋愛的には一切ときめかないっての。
だいたい二人とも好きな人がいるってキッパリ言い切ってんだよ。第一私にゃまだ早乙女さんに気持ちがあるんだから、そうそう切り替えれないっての」

『ま~確かにあんたは一途っちゃ一途だからね』


今までの恋愛遍歴を知る香織の、苦笑いの気配がスピーカーからした。
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