守神と大黒柱と示指?

2.痛がって、体を真っ直ぐに

痛がって、身体を真っ直ぐにできない妻を立たせ、車に行こうとしたら、「着替える!」とのこと。

「バカじゃないの、寝間着のまま、化粧しないでいくよ!」と大黒柱は言って、2階から階段を這うように下ろして、無理矢理車に乗り込ませた。

大黒柱は、診察券、健康保険書、財布がどこに閉まってあるのか知らないので、「診察券どこ?」、「居間の引き出しの中!」とか。

「健康保険証は?」、「いまの引き出しの下の箱の中!」。

「財布は?」、「カバンの中!」と、いちいち聞きながら揃えた。

夜中でも、道路の向こうの側から車の走る音が聞こえる。

妻を後部座席に乗せ、横向きにして痛みが少しでも少ない格好をして待ってもらう。

2階に戻りながら、半分寝ている子供達を起こして、後を頼んでいると、勘違いしたレオがゲージの中で遊んで欲しいと飛び跳ねている。

さて、準備完了だ!医療センターに向けて出発!

夜中は道路に車がなく、救急車のサイレンの音だけが、向こうの方から聞こえる。

先生に言われたように、医療センターの救急受付側の入口から入り、受付で名前を言っても通してくれない。

「こちらの問診表に必要事項を記入してください!」と夜間事務員のような人に言われた。

「すでに、診察室の先生と電話で話しているので、緊急でお願いします。」と言ったら、」確認しますので、少しお待ちください」と言って診察室に消えた。

数分後に出てきて、「先生は今診察中なので、もう少しお待ちください」。

その間に、問診表は作成し終わったが、話が食い違う。

妻が痛がっているのに…。

妻に「大丈夫か!」と声をかけた。

ただ、「うん」とうなずくだけ…。

あの医者!受付に何も話が通っていないじゃないか。

本当にしばらくして、妻の名前が呼ばれて診察室に入ったまま、30分経っても、1時間経っても出てこない。

寒くなる痛みと言うのはどんな痛みだろう。そんな痛みになったことが無いので考えられないが、とんでも無い病気を宣告されるのでは無いか。

緊急入院を言い渡されるのだろうか。

痺れを切らして診察室に撲りこもうとした時、ICUの中で点滴をうたれている妻の姿が目に入った。

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