守神と大黒柱と示指?
第16章・妻の夢

1.いつものクリーニング店

大黒柱は、土曜日の午前中にクリーニング店に行くのが日課になっている。

クリーニング店は、旦那さんと奥さん、尾パート店員の3名で切り盛りしている。

8:30には開店しているので、7:30頃から食事して、レオを35分散歩に連れて行って、クリーニングカードとお金と洗濯物を用意して8:15くらいまでに出るのが通常の土曜日だ。

今日は、もっと遅い時間に出て、クリーニング、お婆さんの見舞い、外食をする予定で昼に近い時間帯に二人で出かけた。

クリーニング店には、大黒柱が一人で行くか、妻が一人で行くかのどちらかだったのが、今日は二人で来たのが珍しいようだ。

クリーニング店の全員に顔と名前、夫婦だということも知られている。

妻がクリーニング店の中に洗濯物を持って行き、僕は車の中で待っていた。

なかなか店から出てこない。

混雑して、待っている状況ではない。

何かクリーニング店の奥さんと話しているようだ。

5分以上待って、やっと妻が車まで帰ってきた。

その第一声が、奥さんに聞かれたんだけど、「よく二人で一緒に出かけるのって」。

「何故」って聞いたら、奥さんの家では完全に別行動で、家の中でも距離を置いて暮らしているんだって、信じられないよね~。

妻は「うちでは、二人で行動すること多いよ」と言ったけど。どう思う、変だよね!

世の中には、熟年離婚も多くなってきそうだというのに、妻にはその考えが無い。

大黒柱は「じゃー、行くよ」「次は、どこだっけ?」と、照れながら妻に言った。

クリーニング店から出て、お婆ちゃんのいる病院に行く途中で…。

妻が、突然車の中で、「私の夢は、子供達が片付き、お父さんが定年になったら、お父さんと二人でキャンピングカーの日本一周をすること…」と言った。

大黒柱は、妻が言った言葉には、何も答えなかった。

妻も回答を必要としている様子でもないから…。
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