守神と大黒柱と示指?

2.天国の更新試験

その話しの前に、わしの言い分も聞いて欲しいのじゃが。

わしは、年に1回、守り神としての資格を更新するため、天国に行ってるんじゃ。

天国の更新試験は毎日開催されていて、受験者は指定された日に天国に飛んで行き、試験を受けることになっているのじゃ。

何人受けるのか解らないが、基本的には家族の数だけ守り神はいるんじゃが、不幸にして守り神の更新試験に落ちたり、受験資格を失った家族もある。

天国まで行けば、会場までは、歩く必要はない。

厚い雲が会場まで運んでくれるので、会場までの雲に乗れば後は任せておけば良いので、試験勉強をしていたも大丈夫。

試験会場は近代的で、厚い雲がスクリーンになって、ビデオのスクリーンやパソコン画面になり、キーボードの代わりにタッチパネルが装備されている。

教室は明るいので、スクリーンを使用する授業の時は、自動的にパネルが降りてきて、受験者別に空間を仕切り、その空間の明るさを一番見やすい明るさに自動調整される。

ビデオを見たり、講演を聞いたりして、パソコンに入力する試験を受けるのじゃ。

更新試験の合否は受験者毎のスクリーンに映し出され、即日発表される決まりじゃ。

合格した者は家に戻れるが、不合格であれば、そのまま戻れなくなるという厳しい試験なのじゃ。

合格した者は守り神として来た道を戻って行けるが、不合格だった者は試験会場から出され、不合格な者だけが一箇所に集められる。

集められた不合格者は、次のために猛勉強をして、追試を受けることができるような噂は聞いたことがある。

守り神は更新試験に不合格になったことが無いので、不合格者のことはどうなるのか分からないのじゃ。

だから、大黒柱家の守り神は「選ばれし者」だったのじゃ。

事故が起きる年までは…。

何の問題もなく、毎年順調に更新してきたのじゃが?

「本当に、残念じゃ!」と守り神が言った。

それにしても、天国にいる時間は、人間界の時間で換算すると半日程度なのじゃから、大黒柱も大人しくしておれば良かったのじゃが…。

今回の事故で、わしは来年の更新試験の受験資格を失ってしまったのじゃ。

今後、大黒柱一家の面倒は誰が見るのだろうか?

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