守神と大黒柱と示指?
第2章・意思を持つ人差し指・示指の誕生!

1.事故発生の朝!

事故の起きた日は、12月中旬だが、めずらしく青空がきれいな日だった。

季節外れで、いつもよりも暖かな朝であった。

家族のうち、長女は土曜日なので病院に出勤した後じゃった。

長男は学生で授業が無いらしく、爆睡中じゃ。

お婆さんは、ご近所でお茶にお呼ばれされ、お出かけ中…。

妻は、食事の後片付けをした後、洗濯物を洗濯機に任せて、自分の顔を洗っておる。

小犬は、ゲージの中で大黒柱が散歩に連れて行ってくれるのをジャンプしながら待っておる。

家族がのんびりした朝を迎えているのに、玄関前の駐車場で、変な動きをしている人がいるのじゃ。

この家の大黒柱じゃな。

朝早くから大きな音を立てないように、注意しながら動き回っているのじゃ。

妻に見つからないよう、最新の注意をしている。

作業台をセットし、新品の電動ノコギリを用意し、ため木の材料の桜の材木を並べている。

桜の木は硬いので、電動ノコギリの歯も一番切れるものを購入したらしい。

初めて使う電動ノコギリなので、取り扱い説明書を見ながら慎重にセットしているようじゃ。

作業台の溝に丸ノコの歯の円盤が下から出るように取り付け、指を切らないように防止するものを取り付けたようじゃ。

電動ノコギリの電源をONした時に、音が思ったよりも大きかったので、口の前に人差し指を1本立てて「しーっ!」と言っていたのう。

試し切りで「ギユーン、グン、ギューン」。切れ味最高と自慢顔じゃ!

緊張しながらもルンルン気分で、横方向に15本の加工はうまく終了したようじゃ。

今度は、縦方向に切るので、再度試し切りをしたら、防止装置が邪魔をして木が最後まで切れないらしい。

「何が邪魔しているんだろう…」と見ていたようじゃ。

分からないので「とりあえず、防止装置を外してやってみよう!」と考えたが。

メーカーが防止装置と書いているのだから、外すのは危険なのではないかと大黒柱は悩んでいるようじゃ。

でも、じっくり考えている時間はないので「ギューン、GA―――、ギューン」とやってみた…。

…うまく行ったようじゃ。

「何だ、無くても大丈夫じゃないか?」と大黒柱は考えているようじゃ。

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