惡夢

｢ねえ、海入ろうよ。｣
｢馬鹿言うなよ。真冬の海なんか入ったら…｣
｢私、知ってるよ。｣
｢……。｣
｢何しようとしてるか知ってる。だから大丈夫。｣
2人は砂浜で、履いている靴を脱ぎ捨てて脚を海に入れる。凛音が着ている白のロングワンピースの裾が海の中に広がっていて、幻想的だ。倉科がスーツのジャケットを脱ぎ、せめて寒くないようにと凛音の肩にかける。
｢あったかい。｣
｢こんな事しかできなくて、ごめんな。｣
｢そんなことない。｣
優しく微笑む凛音と泣きそうな顔をする倉科。倉科は右ポケットの中から小さな袋を取り出す。その中には白い粒が入っていた。
｢怖い？｣
｢怖くない。それ、貸して。｣
袋の中の粒を手に取ると、躊躇なく口の中に放り込む。そんな凛音をみて悲しそうな顔をし、頬を撫でる。