いきなり花嫁とか、ふざけんなです。
なんか、求婚されました。
「えっ……?」



それを聞いた後の、私の第一声はそれでした。

目の前には、見目麗しい青年が三人。



一人は黒髪の男。

浮かんでいる表情はなく、冷たい紅い目をした人。

瞳と同色のマントを羽織っている姿は、まだ若そうなのにとても威厳を感じます。

なんだか怖そうなイケメンさんですね。

名前を、デューノさんというそうです。



一人は金髪の男。

白い肌に、深い海のような青い瞳。

まるで物語の王子様のような中性的な、綺麗な顔立ち。

微笑んでいるのに、その笑みはなぜか得体の知れないものを感じます。

名前を、ハルクさんというそうです。



一人は赤髪の男。

程よく焼けた肌に、他の二人よりも頭一個分高い背。

男らしい顔つきだけれど、ガキ大将が大きくなりましたというような雰囲気。

興味深そうにこちらを見る黄色の目は、まるで値踏みをするかのよう。

名前を、ソルデさんというそうです。



で、そんなトリプルイケメンさんに囲まれた私は、ポカーンとするしかありません。

だって、イケメンさんの免疫とかありませんから!

仕方ありませんよね。うん。

その上、あんなことまで言われたのですから、ポカーンとするのが当たり前です。

私、普通ピーポー。

うん、うん。


「……聞こえなかったのか。」


私が、何の反応も返さなかったからでしょう。

黒髪の青年、デューノさんが感情のこもらない声で聞いてきました。


いいえ、聞こえてましたよっ!?

聞こえたから、呆然としてるのですがっ!?


……なーんて、言えたら苦労しません。

イケメンに囲まれた上に、あんなトチ狂ったことを言われては、誰でも反応できませんて!


「では、もう一度だけ言う。」


あ、リピートしてくれるのですか。

もしかしたら、私の聞き間違いがあったかもしれない……いや、切実に聞き間違いであって欲しいのですが、そんな訳で耳をかっぽじって聞きます。

どうか、間違いであって下さい!

どうか……どうか……!


……しかし、私の願いは虚しく、言われた言葉は先ほどと一ミリも変わりませんでした。


つまり_____


















「ルルノリア・ソフスリー。お前を、花嫁に迎える。」










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