今日から昨日へ
急に涙ぐむ私に、誠さんはあたふたとおしぼりを手渡してくれた。


「…これじゃ…化粧が落ちるぅ…」


それを聞いた誠さんが腹を抱えて笑いだして。

つられて私も可笑しくなった。


化粧を直し席に戻ると。

「美里ちゃんは?彼氏とかいないの?」

誠さんが聞いてきた。
当然の流れ…
基本いませんよ。って答えるんだけどこの人に嘘をつくのはやめよう。


「いますよ。でも、私の彼もロクでもありません」


「嘘つきで浮気性。しかも借金だらけです」

誠さんと比べたら本当に月とスッポン…


「そっかぁ…。別れないの?」


誠さんがチラッと私を見てから、またグラスに視線を戻した。


「…はい。どうしようもない人ですけど…」

「好きなんだ?」


「…はぃ。」



誠さんも私も優ちゃんもみんな同じで…


足りない何かを探してもがいてる…。




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