リナリア
「では、神条の一時帰国を祝してかんぱーい!」

ちょっと時差ぼけに苦しみながらの、宴会が始まった。

同期の子達や上司と久しぶりの再会だから、色々話してたんだけど。

ダメだ…お酒入ってさらに眠い…。

まぁ、近くのホテルとってるから、少々酔っても問題ないかな。

「李蘭、もう酔ってんの?」

同期の楓が眠そうな私の顔を覗きこむ。

『う~ん、寝不足と時差ぼけとで、まわりが早い。トイレ行ってくるー。』

目を擦りながら、立ち上がる。

「1人で大丈夫?」

『へーきへーき!』

軽く手を振りながら、トイレに向かう。

そのときだった。

聞き慣れた声が聞こえてきたのは。

聞きたくて、聞きたくなかった声。

「結城く~ん!もっと飲も?私今日帰れなくてもいーからぁ!」

大胆な言葉と同時に隣りの男の人に、しなだれかかる女の人。

すごい積極的な人だなぁ。

あれが肉食女子ね!

なんて思ってた。
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