ジャスティス
車が走り出してすぐに後ろから勢いよく迫る車の姿が見えた。

どんどん距離を詰める車は先ほど、由良が注意を促した白いワンボックスの運転手だった。

後ろにべったりと張り付き、左右に揺れながらクラクションを鳴らす。

ライトはハイビームにされ、あからさまな挑発だった。





「どうしますか?」



使用人は焦る様子もなく、他人事のように呟いた。



「放っておけばいいよ」



由良もまた、他人事のように返事を返した。



「このまま帰ってもよろしいですか?」



「うん。そうして」



車の中のモニターには後ろで飽きることなく、ずっと煽っている男の姿がハッキリと映っている。

その映像を見ながら由良は、ふふっと笑った。





車が走り出して5分ほど、使用人が運転する車は家の門の前に到着をした。

門が開く間にも、後ろでは男がクラクションを鳴らし、挑発行為を続けていた。

ようやく門が開き、車が入ると男はさすがに中までは入ることはせずにクラクションを長押ししながら走り去っていった。

車は玄関の前まで走ると、由良だけをおろし、左の倉庫へと向かって走った。

由良が玄関に入ると、正面には父親が立っていた。



「随分と騒々しいな。何かあったのか?」



「無断駐車の車、注意したら家までずっと煽ってきたの」



「大丈夫か?」



心配そうに聞いた父親にコクリと頷いた。



「何もされなくてよかった。こんなことなら悠盛に頼んだ方がよかったな」



父親は目尻を下げながら困った表情を見せた。



「お兄ちゃんが行ってたらその場で殴り合いになっていたかもしれないよ?それに、ぜんちゃんも一緒だったし大丈夫だよ。」



玄関から入ってきた使用人に、ねー?と顔を向けた。

父は相変わらず心配そうな表情だったが、由良の横に立つ使用人の姿を見ると納得したように頷いた。



「善一、由良を頼むぞ?」



"ぜんいち"と呼ばれた使用人は話の内容が分からず少し困った表情をしたが「はい」と返事を返した。







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