俺様副社長のターゲット
「朱里さんの上司の佐伯尚輝と申します。本日は朱里さんの歓迎会で大変遅くなりました。」


「上司の佐伯尚輝さん?それはそれは。娘が大変お世話になっております。」



お母さんが尚輝に頭を下げて挨拶をしている。私はお母さんの隣で尚輝にお辞儀をした。



「副社長、今日はお世話になりました。」


「副社長?まあ、本当に申し訳ございません。朱里、飲みすぎないの。」


「いえいえ、楽しく飲んでいただけですので。これからもどうぞ宜しくお願い致します。」


「こちらこそ、不束な娘でご迷惑をお掛けしますが、どうぞ宜しくお願い致します。」



お母さんが尚輝にお辞儀をした。



「それでは失礼致します。」


「副社長、ありがとうございました。」



私は敢えて『尚輝先輩』とは呼ばなかった。お母さんには知られたくなかったから。



「あっ、お母さん。朱里さんとは高校時代の先輩後輩で仲良くさせて貰ってました。これからも仲良くさせて頂きますので。」


「あら、そうなの?こちらこそ、宜しくお願いします。」



尚輝が私にニヤリとし、待たせてあるタクシーに歩いていった。
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