夢の言葉と虹の架け橋【夢の言葉続編①】
【6月11日/ヴァロンの任務先宿屋】

翌朝。
私はアカリさんの元へ帰ろうとするヴァロンを見て、耐えられなくなった。


「…そんな結婚なら、
私は認めなければ良かった。
あの時無理矢理にでも、
アカリさんと引き放せば良かったッ…。」

「シュウ…。
本気で…怒るぞ……。」

私が手首を掴むと、
掴まれている手に力を込めて、
ヴァロンが私を睨む様に見つめてくる。

その瞳が哀しい。
射るような鋭いあの彼の眼差しが、ない。


こんなヴァロンを見たくない。
何とかしてやりたい。

……。

でも、昔も今も…。
ヴァロンが求めているのは私ではない。

何時だって彼は私を支えてくれたのに…。
私は一番愛おしい人を、
救う事が…出来ないんだ……。
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