スーパー丸尾ブラザーズ

―郁の夏―

兄ちゃんが体調不良で部活を休んで帰ってきた。

夕方、少し部屋で横になっていたみたいだけど、晩ごはんは普通に食べていて顔色も悪いようには見えなかった。


多分風邪ではなかったんだろうな。きっと何かあったんだろう。


そりゃ気にはなったけど、聞いたところで兄ちゃんはそのことについて話をすることはないと思う。だから俺も気づかないふりをしたんだ。


だけど祥平や名菜は兄ちゃんのことをとても心配していた。

それは弟妹として当然だけど、俺はまたヤキモチをやいてしまう。


兄ちゃんが具合悪いと言って二階に上がった時だ。

俺とゲームをしていた名菜は、持っていたコントローラーを床に投げるように放り出し、階段を駆けあがっていった。


友達の家から帰ってきた祥平も、早い時間に兄ちゃんの靴があることを不思議に思ったみたいだ。

俺らに「ただいま」と言う前に、「ふみ兄どうかしたの?」と不安そうに聞いていた。


もしそれが兄ちゃんじゃなくて俺でも、祥平たちは同じように心配するだろうか。


実際そうなったところでそれが杞憂だったこともわかる。きっと同じくらい心配してくれるだろう。


わかっているけど、だけど……って思っちゃうんだ。兄ちゃんのことは前よりも敏感になってきている。

< 61 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop