好きだと思うんですがっ!?

あたしは教室の扉の前までやって来ると、弾む息を整えた。

深呼吸を二回。それから教室の扉を開けた。


ガラガラとレールの上を滑る音も教室の喧騒にかき消される。

大半のクラスメイトが登校しているらしく、教室内はざわついている。

あたしが登校して来た事にも特に気にする人はいない。

……約1名、古柳くんを除いて。


古柳くんはあたしが来たのを確認して、目でおはようって語りかけてきた。

あたしは返事の代わりに口角を少しだけ引き上げた。


古柳くんがいつも通りの態度で接しようとしてるって事は、今のやりとりだけでもよく分かる。

だからあたしもいつも通りに接したつもりだ。


だけど、古柳くんと話をしてたクラスメイトがあたし達のやり取りに気づいて楽しそうに耳打ちしてる。

それを見て、あたしは慌てて自分の席に着いた。

きっと、今耳打ちした内容もあの噂の事だと思う。雰囲気を見てればそれはなんとなく分かる。

あたしはその視線から逃れるようにして授業の準備に取り掛かった。


< 155 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop