アラビアンナイト
「まぁまぁ、そう怒らないで。
ありすだって、彼のことが嫌いなわけではないでしょ?」
「べ、別に嫌いじゃないけど…」
思わず口を尖らせながら言うと、
「嫌いじゃないけど?」
と続きを促された。それをやや恨みがましい目で見つつ、
「半端なく恥ずかしい…。
それと、決してカップルとかではなくせいぜい姉と弟っていうか、
飼い主とワンコっていうか…」
後半はゴニョゴニョと小さな声になった私の返事を聞いて、忍ちゃんとセリム君が優しく笑った。
後半が小さな声になったのは、恥ずかしいからだけじゃないってバレてるっぽい。
苦し紛れに”姉と弟”とか”飼い主とワンコ”って言ってみたけど、流石の私も、本当にそんな関係に近いなら、恥ずかしさなんて感じるわけないってことはわかる。
でも、彼だけに感じる距離感への照れというのを、まだどう受け止めていいかわからない。
相手が他の男友達だったら、同じことをしても、こんなに照れ臭く感じないと思う。
本当に姉と弟だったり、飼い主とワンコっていう感じで、ご飯を食べさせたとしても恥ずかしいっていうより、世話が焼けるなぁって感じだと思うから。