アラビアンナイト


『ええ。私のすべてはあの方のためにある、と言っても過言ではないので』

『1人の人間にそこまで言わせるなんて。すごい人なのね、彼は。
そして、ありすはそんなすごい人に見初められちゃったわけね…』

忍が微笑みながら言った言葉に、セリムが困ったような表情を浮かべた。

それを見た忍は、

『…私は2人のこれからが楽しみだけど?』

と重ねて言った。

だが、セリムはますます困ったように微笑を浮かべるだけで、無言のままだった。

『あなたはそうではないってことね』

忍の言葉に無言を貫くセリムの表情は険しかった。




< 184 / 713 >

この作品をシェア

pagetop