アラビアンナイト
『ええ。私のすべてはあの方のためにある、と言っても過言ではないので』
『1人の人間にそこまで言わせるなんて。すごい人なのね、彼は。
そして、ありすはそんなすごい人に見初められちゃったわけね…』
忍が微笑みながら言った言葉に、セリムが困ったような表情を浮かべた。
それを見た忍は、
『…私は2人のこれからが楽しみだけど?』
と重ねて言った。
だが、セリムはますます困ったように微笑を浮かべるだけで、無言のままだった。
『あなたはそうではないってことね』
忍の言葉に無言を貫くセリムの表情は険しかった。