アラビアンナイト


健太も忍ちゃんの剣幕に一瞬怯んだみたいだけど、忍ちゃんがなんとか私になだめられたのを見て、もう一度口を開いてくれた。

「だけどさ、俺思うんだ。そんな一国の王子ともあろう奴が、そんないい加減な気持ちでたった1人の女のために、縁もゆかりもない外国に留学してまで会いに来るのかなって。
だってさ、お前の言う通り、腕輪を取り戻すことが目的なら、そんな回りくどいことをしなくてもいいはずだ。
力ずくでもなんでも、もっと簡単に取り戻す方法が他にたくさんあるだろ?」

そう言うと、健太は私としっかり目を合わせた。

「さっきお前が駆け込んできた時、あいつはお前のこと追いかけてきてた。
俺と涼介に連れられてここに座ってるお前を見つけて、すぐにこっちに来ようとしてたよ。
けど、お前があの時、あいつにだけは会いたくないって言ってたから、俺が涼介に頼んで近づけないようにした」

そうだったんだ…。
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