アラビアンナイト


でも、おかげで夢も見ないくらいぐっすり眠れた。

目が覚めたら外が明るくなってきていたから、そっと布団の上で体を起こしたけれど、部屋の中はまだとても静かで、みんなの寝息だけが聞こえてくる。

私はみんなを起こさないように布団を抜け出し、洗面所へ行って身支度を整えた。

そして最後に買ったばかりのグロスを塗ってみた。

鏡に映る自分の顔が、少しだけ、ほんの少しだけ女の子っぽくなった気がした。

時計を見ると、ちょうど起床予定の時刻。

部屋に戻ると誰かの携帯のアラームが鳴っていて、布団ももぞもぞと動いてる。

程なくして、みんなが次々に起きてきた。

< 568 / 713 >

この作品をシェア

pagetop