アラビアンナイト


「ありす…」

不意に名前を呼ばれて振り向くと、そこには何か言いたげな顔をしたジェイクがいた。

そうだ、私、ジェイクと話さなくちゃいけなかったんだ。

今朝、心の中でしっかりと誓ったことを思い出して口を開こうとしたけど…


でも、何を?


そう思った瞬間、ジェイクにぶつけようと思っていた私の気持ちそのものがあやふやな今、たとえジェイクからどんな答えをもらったとしても、今の私には無意味だってことに気づいた。

だって、

”ジェイクにとって私って何?”

って聞く以前に、

”私にとってジェイクってなんなんだろう?”

ってところで止まってしまってるんだもん…。


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