アラビアンナイト


あの後、セリムと別れた俺は、これからどうするかを考えていた。

日本に来るまで、俺がありすのことを真剣に好きだと言っているのを信じず、ただの気まぐれだと思っていたセリム。

今のありすが同じことを思っていてもおかしくない…。

セリムと俺は長い付き合いだから、今までのことと、さっきのやりとりで、さすがに俺がどれだけ本気かは理解したはずだ。

セリムの行動はあいつの言う通り軽率だったかもしれないが、俺の言動も同じくらい軽率だったことを思えばセリムを責める気持ちにはなれない。

まぁ2人して見事にサオリにしてやられたな。


…あとは俺が自分の気持ちの根拠をあいつにはっきり説明しなかったせいでもある。


俺の立場では、子供のような感情論だけで将来の伴侶を決めることはできない。

だが、それを超えてでもありすを選んだ理由を、俺はセリムだけでなく、ありす本人にも話していない。

当の本人であるありすに…。

ただ、簡単に話せることばかりではないから、その辺りは伏せたまま、ありすも周りも納得させるには…。

おまけに、ライバルはそこら中にいる。

油断できないのはもちろん、じっくり攻める余裕もない。

生まれて初めて誰かを振り向かせる難しさを感じている俺は、はやる心を無理に落ち着かせながら、頭をフル回転させることにした。

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