辛口ちゃん と 言葉足らずくん



ドンッ



少女は石がごろつく地に手と膝をつく。



「あっ」



ガラガラ、ガチャン。
手を伸ばすも戸は簡単に閉ざされた。勿論、鍵までしっかりと。


宙に浮いたままだった手は力なく膝の上に落ちる。



「う、ひっく」



止まらない涙、しゃくりあげる呼吸。
息は詰まり目は腫れ、擦りむいた手には痛みが走る。
おまけに寒さも容赦なく襲い掛かってくる。



(ぜんぶ、ぜんぶ、なくなっちゃえ。いっそわたしも…)







そんな、絶望の淵に立たされた少女に差し伸べられたのは…




「うるさいんだけど」




小さくて、暖かい手でした。



< 2 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop