できちゃった出産【ベリカフェ版】
 ところで、私が入院したのは廊下を挟んで真向いがLDR(陣痛室と分娩室の両方の機能を兼ね備えた病室)というお部屋でして……。今まさに分娩中という産婦さんの声が聞こえてくるのですよ(汗)苦しそうな叫び声にビビリまくる私です……。そんな私を見て、まどかちゃんが朗らかに笑います。

「ちさとちゃんも、我慢しないで叫んでいいということですよ」

「そ、そうだね……」

ふふふと笑うまどかちゃんと、思わず苦笑いする私です。

 語らう姉妹の様子を、中の人はどんなふうに思っていたのでしょう。このときにはもう、妖精さんとの脳内対話はしていませんでした。無理にやめたわけでもなければ、私が語りかけても返事がなくなった(!?)というわけでもありません。なんとなく、自然に終息していったのでした。

この日に中の人へ宛てて書いたメッセージが母子手帳に残っているんですけどね。

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予定日に出て来ませんでしたね(笑)ここまで本当によく頑張ってきましたね。あと少しですよ? みんなついていますし、みんな待っています。気負わずに安心して出てきてくださいね。

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「みんな」というところに、いかにも私らしい逃げの姿勢が見え隠れしているのは気のせいです(気のせいじゃないですな……苦笑)。

こんなふうに――中の人の「脱出クエスト」は本格的に始まったのでした。


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