できちゃった出産【ベリカフェ版】
 さて、LDRに移動していよいよ「状況開始」です(なんかの作戦かいな……苦笑)。そうそう、お守りは持参していませんでしたが、まどかちゃんが買ってくれた「無限枝豆」を持って入りましたよ。ご存知ですか? 無限枝豆(笑)。

 無限枝豆は手のひらに乗っかるくらいの小さな玩具で、無限プチプチみたいに遊びます。豆をさやから出すというあの作業を地味に延々と繰り返す、ただそれだけという(笑)その他に、お気に入りのぬいぐるみも同伴していました。あ、でっかい奴じゃないですからねっ(大きさの問題じゃなかろうに……苦笑)。

 でも結局、点滴をしながら陣痛がくるのを待つ間もあまりできなかったんですよね、無限枝豆。ときどきまた胎児心拍が下がったりして、その度にちょっとしたバタバタの雰囲気になって。

 ドクターたちが帝王切開にするべきかを相談し始めました。今一度、私の意向も聞かれました。え? 答えですか? 「どっちでもいいです。おまかせします」と答えましたよ(苦笑)。だって、何が最適かなんて素人の私にはわからないですし。専門家の判断に委ねるしかないかと。主体性がないようですが「責任を持って人様(専門家)に任せます」ということです。

 相談の結果は「帝王切開も視野に入れつつ、もう少し自然分娩で様子をみましょう」と。私が自然分娩を強く希望したわけではありませんが、出血などの諸々のリスクや術後の回復を考えると自然でいけるに越したことはないですからね。

 さてさて。ここからですよ、魔法使いにとっての厳しい戦いが始まったのは……。

「カイザー(帝王切開)になるかもしれないから、絶飲絶食ね」

 なんですとーっ! この決定が下されたのは昼食前。私が食べるはずだったお昼の病院食は夫が代わりに食べました……。これ、かなりキツかったです(泣)あ、夫に病院食を譲るのが辛かったというわけではないですよ(んなことわかってますよね……)。何も飲めないのって、ほんっとうに辛かったんです。

 その頃はもう院内に暖房が入っていまして。なのに、加湿器がない……(汗)。室内はとにかく乾燥していて、喉がカラカラでヒリヒリ痛くなってきます。でも、飲んじゃダメ。仕方なくうがいをしてみても、どうにも喉は潤いません。

 そのうえ空腹ですからねぇ。なんだかもう、気持ちが悪くなってきちゃって……。出産のときに辛かったことは何かと問われたら、私は迷わず「吐き気」と答えます。もちろん陣痛の痛みもありましたよ。でも、それを凌駕する(苦笑)吐き気の辛さだったのです。

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