できちゃった出産【ベリカフェ版】
 産褥期――それはまさにステータス表示がオレンジの瀕死状態のまま、毒の沼地をトボトボと歩き続ける日々ですよ。「べ、ベホマさえ唱えられたら……」と思ってみても、魔法使いはそもそも回復呪文が使えませんし(汗)。

それに、MP(魔法を使うためのパワー)も減っちゃってますからね。呪文が使えない魔法使いなんてね、「返事がないタダの屍」と一緒なんですよ、ええ(ちょっと言いすぎか……苦笑)。

 そんなとき、気が利く妹(盗賊)は、薬草(美味しいものや元気が出るもの)を差し入れてくれました。母(僧侶)はベホマの唱え方こそ忘れてしまったようでしたが、熟練の家事技でサポートをしてくれました。そして、そんな二人を猫が癒す。私たち、命大事になんとか暮らしてました(泣笑)。

 夫は……いや、立派だったと思いますよ、うん(笑)。女ばかりに囲まれて居心地悪かったはずですが、その愚痴を私に言ったりしませんでしたし。ちなみに、猫も女性です(笑)。息子が「男は男同士」などといって味方になるのはまだ先でしょうからね。

 私の夫に限らずだと思いますが、男性ってやっぱり察することが下手ですよね……(悩)。その場の優先順位とか、こちらがどんな要求をしているのかとか、わかってもらえないことがしばしばで。すると、魔法使いのご乱心となるわけです(汗)。

 ある夜、いつもより夫が少し早めの帰宅をした日でした。私が沐浴の手伝いを頼むと、夫は「いいよ」と快諾してくれたんです。でも――いっこうに腰を上げる気配がない。なぜ? なぜにベッドに寝転がってマンガ読みはじめるの? 私がせかせかと準備を進める側で、読んでるそれマンガだよね? もうイライラMAXですよ(怒)。

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