溺愛されてもわからない!

中に入ると小さな庭園があり
数人の男の人達が私達の車を見て深く頭を下げている。

人が多いんだね。

そしてドライブ終了。
田中さんが「お疲れ様でした」ってエンジンを切ると

目の前には

ドドーンとしたゴージャスなお城のような建物と、その隣に純和風な高級旅館みたいな建物があった。
その真逆な建物は真ん中が渡り廊下的なもので繋がっていて、これでひとつの建物らしい。

あまりの豪華さと大きさに
ビックリしながら車を降りると

「こっちが家で、あっちが事務所。事務所は仕事する場所だから来てはダメだよ」
和彦さんは私に優しく語りかける。

絶対
純和風な高級旅館が家だと思ったら
お城が家だった。

そして

『殺せ―!いっそ殺してくれーー!!』

『この根性なしが!その頭ぶち抜かれる前に吐けってんだろ!』

事務所の方でそんな声が聞こえ
和彦さんは「えーっと……えっと……」って困った声を出し

「椿さんもすみれさんも疲れたろう。さぁ早く家に入ろう」って私達の背中を押して玄関に押し込んだ。

押し込まれた玄関は
これまた広くて

玄関なのに
うちの居間より大きくて
キラキラとシャンデリアが輝いていた。

うわぁ綺麗。

「何の為の防音部屋だ?あー?」

背中で聞こえた冷たすぎる和彦さんの声

無視させてもらいます。






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