溺愛されてもわからない!

もう少しゆっくりしていくのかなって思ったら
夢君はコーヒーのおかわりが終わると
すぐ「帰る」と言い出した。

「ばぁちゃん迎えに行くからさ。楽しかったよありがとう」

昨日来た時の姿をして黒いバッグを持ち
玄関に向かおうとしたので

「3分待って」と私は叫び、顔を洗って着替えてお見送り準備。

「また来いよ」

「うん。ありがとう」

ありがとうってきちんと言える夢君っていいな。

「昨日の約束、忘れんなよ」

「夢もな」

一夜とそんな会話してる。何の話だろ。
私は散歩ついでにそこまで送ると一夜に言い
靴を履くと「すみれちゃん」って一夜に声をかけられて、振り返ると首にふわりとスヌードを巻かれた。

「朝は寒いよ」

白い薄手のスヌードだけど
おしゃれで温かくて一夜のいい匂いがする。
あったかい。

一夜に「行って来ます」をして夢君と並んで家を出る。

あぁ本当だ
朝はけっこう寒い。もう秋も終わるんだね。

「寒いね夢君。大丈夫?よく寝れた?」

「寝れねーよ」

「えっ?寝不足?大丈夫?私のイビキとか寝言がうるさかったとか?」

「違うよバカ」

夢君は笑って私の頭をまたぽんぽんする。
嬉し恥ずかし
頭ぽんぽん。

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