溺愛されてもわからない!

5時過ぎると食事の用意は完璧。
一夜はまだ起きて来ない。
昨日と今日で彼も疲れがたまってるのかな
私が振り回したものね。ごめんね。

大きく背を伸ばしたら
外が騒がしい
デカい車の音が聞こえて
団体さんの声がする。

帰って来た!

私は嬉しくて玄関のロック解除して、出迎えたら月夜が走ってやって来る。

前髪をフワフワさせて
ピンク色のほっぺたを輝かせ
ウルトラマンのリュックを背負いながら「すみれー」って私の元に走って来たけど

幼稚園児の動きが止まった。

「おかえり月夜」
両手を差し伸べて大歓迎ポーズをとったけど

月夜は動かず
「たなか―。変なヤツがいるー」って叫んだものだから、風のように田中さんが現れ、月夜を抱き上げ胸元から小型銃を出して私に向けた。

あいかわらず……スゲーよ田中さん。

「すみれお嬢さん」
田中さんが言うと、月夜が田中さんの腕からジャンプして降り、私の顔をジッと見つめた。

「すみれか」

「そうだよ。お姉様の顔を忘れるな」

「なーんだ。お兄ちゃんのオンナと間違えた」

そして照れた顔でプイッとして、靴を脱いで私の横をスルーして歩く。

「ちょーっと『ただいま』ぐらい言いなさいよ」

「ただいまー」

「心がないぞ!月夜がいなくて寂しかったよ」

「すみれ。顔が変わった」

「そう?メイクしてみた」

「すみれ」

「ん?」

「カワイイぞ」

私の顔を見ないで、ポソッとウルトラマンのリュックから怪獣をテーブルに並べながら言う月夜。

こいつもタラシの血が流れてるな。
ズキュン発言する幼稚園児。末恐ろしや。
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