溺愛されてもわからない!

お母さんは一瞬目を丸くしてから
「とっても楽しかった。みなさんいい人達ばかりで、美味しい物を沢山食べてきたの。ねっ月夜君」

「うん。お母さんと一緒で楽しかったよ」

月夜の満面の笑みに一夜は優しく笑顔を返す。

「お母さん着替えてきたら。すみれちゃんの手料理食べよう。昨日も食べて美味しかった」

「そうね、ありがとう。外食ばかりだったから、すみれの手料理が嬉しいわ。和彦さんも……あら?」

和彦さんの姿がない

絶対
泣きに行ったと思う。

お母さんは月夜を連れて着替えに行き
一夜は台所に入ってフライパンのふたを開けて「おいしそー」って覗いてる。

「言ったね」

「何が?」

「お母さんって言った。あんまり簡単に言わないでよ」

「どうして?」

「あとは私だけじゃん」

「言えばいいでしょお父さんって。言うだけなら簡単だろ、それで家族になりました。はい終了」

そんな簡単に言えるなら
最初っから言ってるわ。

あーぁ

「ご飯出すの手伝って」

「はいはい。あ、僕の事をお兄様って呼んでいいよ」

王子様スマイルで言われたけど
ドSな家庭教師にしか今は見えない。

スルーしよう。
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