溺愛されてもわからない!

「ずっと朝まで一緒に付いてようか?」

その表情が寂しく見えるのはナゼなんだろう。
私の気のせいか
お互いに疲れているせいか。

「大丈夫だよ。夢君、助けに来てくれてありがとう」

私が言い切ると「その『大丈夫』が、いつも強がりに聞こえるんだけど」って笑う。すっかりバレてるね。

「また明日来てくれたら嬉しい」

「……わかった」
やっぱり寂しそうに夢君は言い、私の髪をこっそり撫でてから何度も振り返り部屋を出る。

田中さんは無言で頭を下げ
最後に部屋を出た。

カッコよかったったな田中さん。
うっすらしか覚えてないけど
かなりケンカ強かった。

みんな帰ったのね。

ちょっと寂しい。

はぁーっとタメ息すると
また頭ズキズキ。

「今、お医者さん来るから。もう夜中の1時過ぎなんだ、目が覚めてよかったよ」

一夜の声が聞こえた。

えっ?

「どうしているの?」

「いや付き添い」

「なんで?」

「家族だから」

「いや……そーじゃなくて」

「和彦さんと椿さんに頼まれた。頼まれなくても付いてる予定だったけどさ」

小さな丸椅子を引っ張って
一夜は私の傍に座った。
< 333 / 442 >

この作品をシェア

pagetop