溺愛されてもわからない!

廊下にもスプレーで落書きがいっぱい。
アートだね。

職員室に入って挨拶して
担任の先生が登場。

先生は大きくて
一言で言えば……熊。

髪もヒゲもボサボサ
柔道部の顧問って話を聞いて納得。

「命の危険はないから大丈夫」

かるーく最初にそう言われ
返事に詰まった。

「悪いのばかり目立ってるけど、君みたいな普通な子も2割ぐらいいるから安心して」

って私の内申書とか個人情報をずーっと目で追ってから、最後の一行あたりで顔つきが急変。
いきなり目つきがイキイキしてるし。

「えっ?佐藤先輩の連れ子さん?」

「母が佐藤和彦さんと再婚しました」

そうか
佐藤すみれですって自己紹介しなきゃな。

佐藤すみれ……あとから姓名判断してみよう。

「そうか。僕は佐藤先輩の後輩なんだ。先輩は伝説の人で武勇伝だらけだよ」

え?そうなの?
和彦さんスゴいんだ。

「木刀持たせたら右に出るヤツはいなかった」

遠い目をして先生がそう言った。
和彦さんは剣道部だったのか。似合いそう。

「主将とか?」

「いや総長」

総長って部長みたいな感じかな。
すごいんだ。

先生と一緒にうっとりモード。

家に帰ってお母さんに教えてあげよう。





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