溺愛されてもわからない!

田舎のタヌキちゃんはここで崩れそうです。

「何度でもキスしたい」

こんなセリフを言われるなんて
半年前の私には考えられない。
クラクラしながら一夜の腕に抱かれていたら……気配がする。

「誰か来る!」

私の一言で一夜は慌てて離れたけれど
特に何も動きは無し。
「誰も来ないよ」って
また手を伸ばそうとするので
それを拒否して身を潜めたら
事務所の方から
お母さんとお父さんと月夜と田中さんの登場。

ほらーみんな来たでしょう。
鼻高々で一夜を見ると「人間離れしてるわ」って言われた。

でも
違うんだよね。
みんなの気配もあるけれど

「誰か来るよ」
耳を澄まして台所でそう言うと
田中さんは静かに窓の外をジッと見る。

そして
しばらくしてから
「素晴らしい身体能力ですね、すみれお嬢さん。村越組のお嬢様のお車がお見えになりました」って冷静に私達に伝えた。

村越組って彩里ちゃん?
彩里ちゃんが来たの?

軽くパニックになり
窓から隠れてジッと見てると
車はグングン近くなり
運転手さんがインターホンを呼び、田中さんが確認して門と玄関のセキュリティを解除すると、彩里ちゃんは待ちきれないように車から降りて、遠くから見ても怒りのオーラをガンガン出し鬼のような顔で玄関に入って

あっという間のスピードで
私達の目の前にやってきた。

私達というより
オンリーワンって言うのだろうか
ただ私の前だけにやって来て
可愛い顔を引きつらし
片手を高々と上げ
私の頬を音を立てて打ち鳴らした。


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