溺愛されてもわからない!
条件付きのハッピーエンド

「バカにしないで!」

彩里ちゃんは自力で立ち上がり
真っ赤な顔で私に怒鳴った。

「全部すみれちゃんが悪いんでしょう?すみれちゃんが一夜さんを誘惑して、私と別れさせようとしてるんでしょう」

彩里ちゃんの鬼気迫る顔が怖いのと、自分がグーパンチでやらかした事が負い目になり、先生に怒られた小学生気分。反省です。

「すみれちゃんは何も悪くない。昨日も言った通り僕の責任だから。申し訳なく思ってる」
一夜がスッと私の前に立ち
私を田中さんの後ろに移動させ
田中さんが私をガードする。

「すみれちゃん。彼氏がいるって言ったじゃない!」

「彩里さん。ふたりでもう一度話をしよう」

「一夜さんの好きな子って、すみれちゃんなんでしょう」

「彩里さん」

お父さんは彩里ちゃんの発言に余裕で笑い
大人の貫録で前に出る。

「彩里さんそれはないよ。一夜とすみれは兄と妹で家族だから」

「違いますおじさま。この二人はデキてます!」

「ないない」
爆笑するお父さんだけど
爆笑しているのは自分だけと気付き顔色が変わる。

「一夜?え?すみれ?あれ?椿さん?田中?」
目を泳がせながら
すがるように周りを見渡すけれど
誰もお父さんと顔を合わせず横を向く。

って
私と一夜はわかるけど

お母さんと田中さんまで?

何で?
< 384 / 442 >

この作品をシェア

pagetop