溺愛されてもわからない!


「さぁ始めよう」

食卓テーブルを囲む佐藤家5……じゃなくて6人いる。なぜ?なぜに田中さん。しれっとして月夜の隣に座る田中さん。まぁいいか家族みたいなものだから。

お父さんは怖い顔で一夜に「すみれが好きなのか?」って聞き、一夜が「はい」って答えると、もっと怖い顔になる。

まじ怖い。

「おまえは佐藤家の長男だ。新しいお母さんと妹を迎え、長男として妹と弟を守る立場なのに、妹に手を出した?」

「だからまだ手は出してないって!」

「俺の可愛い可愛い可愛い娘に手を出した?冗談じゃない!うちの娘に手を出す奴は斬る!」

いやお父さん。
ありがたいけどね
一夜はあなたの本当の血を分けた子供で、私は連れ子なんですけど。可愛がり方が逆でしょう。

「和彦さん落ち着いて」

興奮するお父さんをお母さんがなだめ、月夜は田中さんに「手ぇ出すってなあに?」と無邪気に聞く。

「和彦さん、私は賛成なのよ」
お母さんが柔らかい声を出し、お父さんは赤い目をしてお母さんを見つめる。
お母さんの手がそっとお父さんの手を包む。

「一夜君はとっても気持ちが優しい子よ。和彦さんに似て思いやりがあって、とってもいい子。すみれの事を大切に思ってくれている。変な男の子と付き合うより私は賛成よ」

お母さん。
私は一夜と顔を見合わせ
声を出さずに喜んだ。

「それにね、もし、もしもよ。このまま2人が結婚なんて事になったら、ずーっとずっとすみれも一夜君も家族で一緒に居れるのよ。最高でしょう?」

上手い。流れを作るのが上手い。

お父さんはお母さんにそう言われ
少し頭も冷えたのか「うーん」って低い声を出す。
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