溺愛されてもわからない!

「座ったら?」

「いい」

「話はそれだけ?もっと何かあるんじゃない?」

けっこう鋭いな。
私がこの年齢で、お母さんを恋しがってるなんて
バレたら恥ずかしいよ。
早く逃げた方がいいかな

「夢の話でしょう?」

「ユメ?」

「水無月 夢の話」

「あ、そっちか」

「他にあるの?」
多少あきれたような声を出してベッドに座り
私を隣に座るように誘導。

その笑顔にだまされるもんか。

私は一夜の真正面に正座。
白いラグマットがフワフワだ。

一夜の部屋はシンプル。
私と同じ広さだけれど
壁は白くてポスターとか貼ってなくて
立派なコンポと大きな本棚と机とベッド
あとギターとアンプ。

ギター弾くんだ。

整理整頓された綺麗な部屋。

田中さんが言ってたっけ
一夜は繊細だって。

「すみれちゃん?」

「えっ?あ、ごめん」

「話を聞きたくないならいいけど」

「聞きたいですっ!」

聞きたい聞きたい
水無月君の情報知りたい。
急に元気になり
目を輝かせてしまう。
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