Turquoise Blue 〜空色のベース〜
「 ユカあ!!! 」

「ユカ間に合った〜!!」

「ユカ!!!」



…皆が、抱き着いて来た





− ライヴハウスの入口



辺りが少し暗くなって来ていて
入口を照らす、小さなスポット

看板に光が入ってた


お客さんもたくさん来ていて
本当の
ライヴハウスな感じだ



私は前屈みになりながら
膝に両手をついて

何回も、咳込んだ



ゴツ と
黒いブーツの足先が見えた

そして、茶色いソフトケースの色

それを私は両手で掴んで

『彼』の方を見あげた






− 黒いブーツの紐が片方
少し解けていて



…汗で

髪と 白いガーゼシャツが

少し肌色になって体に


張り付いてる



粗く息をする首筋に
汗が流れて

喉仏まで 落ちて来た


茶色い強い眼で
私を見ていて

なんだか泣きそうになったけど



…何度も助けて貰ったのに
1度も『彼』に
言っていない言葉を
言わなくちゃって


そう思った −







「あ……ありが…とう!!!」








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