クールな総支配人の迷子注意報?

嬉しい……憧れの小山さんとなら
近付けるだけじゃなく、たくさん学べるわ。
頑張って一人前のコンシェルジュになって
認めてもらわなくちゃあ!!

私は、決意を新たに小山さんについて仕事を学んだ。
宿泊客の対応をしていると

ある人が慌ててこちらに来た。
その人は……
「すみません。また居なくなったのですが
こちらに連絡ありませんでしたか!?」

えっ?またですか?

彼は、藤本さん。
総支配人の秘書を務めている人だ。

私の働いているホテルには、
藍沢海人と言う総支配人が居た。 
しかも、このホテル……藍沢帝国ホテルの御曹司でもある。

“ホテルの全てを把握していないといけない”
それが、総支配人の父で社長の考え方だった。
そのため“総支配人”として配属されたらしい。

頭の回転も鋭く、眉目秀麗。
クールで冷静沈着なのだがスタッフだけじゃなく
宿泊客からの信頼も厚く人気も高い。つまり
モテモテの御曹司様なのだ。

私も彼を初めて見た時は、一瞬心を奪われそうになった。
しかし私は、小山さんが好きだし
そもそも住む世界が違う人。
好きになるはずがないと最初の頃は思っていた。

しかし、そんな完璧な総支配人だが
1つ最大の欠点があった。

小山さんが
「どちらに行くかとか、
居なくなる前に何か話題にしていた場所とか
ありませんでしたか?」
藤本さんに質問をする。

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