カボチャ男とハロウィン


……このまま、アイツと私の距離はどんどん広がっていくのかもしれない。

ずっと感じていた不安の波が、私の中で存在感を増す。

だけどそもそも、私たちの距離はそんなに近付いてすらいなかったのかもしれないとふと理解して自嘲した。


家がお隣さんの幼馴染み。そんなたまたま近くにいた関係だから情が湧いて、何となくアイツは私の告白を受け入れてくれたのかもしれない。

私はずっと好きだった。だから幼馴染みという枠の中から出たくて、気持ちを伝えた。

アイツはそれに応えてくれたけど、もしかしたら……。


クリーム色の壁が黄ばんでいる自分の家の隣を見遣る。同じく黄ばんだ壁の隣家の2階の南側の窓は、ライトグリーンのカーテンが引かれていた。

現在不在なあの部屋の主の大好きな笑顔を思い出して、無性にもの悲しくなった。

そのくせ自分から連絡して「ごめんね」と一言謝る勇気もなく、アイツに少しぐらい気にかけてもらいたかったと性懲りもなくわがままな思いを抱えているのだから、本当にこんな自分のことが面倒くさくて嫌になる。

意気消沈してようやく入った自宅の玄関で、またため息をついていた。


台所で夕飯の支度をしていたお母さんにただいまとだけ短く伝えて、おかえりの声を聞き終える前にさっさと2階へと向かう。

今はあまり、誰かと長々と話したい気分じゃなかった。

それでも階段を上がる背中に「夕飯が出来たら呼ぶねー」とお母さんの能天気な声が飛んでくるので、仕方なくそれに適当に返事を返しておく。


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