クールで強引な王子様
波田 聖 side

「ゆーーうーーまーー。
昨日言ってた子ってどの子?」

俺は目の前を歩く矢川悠真に声をかけた。
俺と悠真は中学からの友達だ。
友達と言ってもほとんど俺が話しかけて居る。

俺だけが友達だと思ってるのかな、と不安になったが、先日悠真に好きな人がいると打ち明けられ俺のことを友達と思ってくれて居る事が分かり嬉しかった。

その子は中学の頃よく見かける子で名前も知らない彼女を好きになってしまったそうだ。

「うるせぇな。
あ…」

と言い悠真は立ち止まった。
校門に差し掛かろうとした時だった。

目線の先には、委員会で同じになり、仲良くなった彼女、城崎天ちゃんの姿があった。

「悠真。
まかせろ。」

俺がお前の恋叶えてやる。

無理かもしれないが大切な友達として、できることだけやってやる。

という意味を込め肩を叩いた。

「な、べ、別にっ!叶えてぇわけじゃねぇし!」

と顔を真っ赤にしながら否定して居る。

こいつは世間から言えば、ツンデレという部類に入るだろう。


いっつもツンツンしてばっかだしな…デレなんてたまにしかみれない。


「彼女の名前は城崎天さん」

「城崎…天…」

悠真が彼女の名前を知ったのは高校一年生の時だった………………。



月日は流れ高校二年生になり、悠真は彼女と同じクラスになった。

同じ委員会になり、数ヶ月が過ぎ、一度も話しかけない悠真がもどかしくなり、話しかけるように伝えた。


「聖。
昨日言ったように、喋りかければいいんだな…?」


悠真は緊張した様子で、こんな悠真を見るなんてレアだった。


そして、その日の放課後、話しかけたと聞いたが、挨拶をしただけであった。

でも、まぁ、悠真にしては頑張ったのかな?


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