クールで強引な王子様

中に入り、矢川悠真君の隣に座った。
ばらつきがあるけど結構生徒が集まっていて、ザワザワと騒いでいる。

「あれ?天ちゃん今年も学級委員?」

「ん?」

後ろから声が聞こえ振り向くとそこには波田 聖(なみた ひじり)君が座っていた。
聖君とは去年の学級委員会で知り合って仲良くなった。
そういえば隣のクラスって言ってたような。

「聖君こそ今年も学級委員なんだね。」

「そうっ!聞いて!天ちゃん!
俺遠慮したのに推薦した馬鹿どもがいて俺になったの…最悪」

肩をガクンと落とし悲しがる聖君に少し笑ってしまった。
ムードメーカーのような性格で明るくて友達も多い。
そんな彼だからみんな頼っているんだよね。

「聖君が頼れる人だからだよ!」

「天ちゃん慰めてくれるのかぁ。
ありがとう…って!
え!?お前!どうしたの!?え?なんでいるの!?」

聖君は私の隣を見て口を開けて驚いている。
矢川君と知り合いなのかな?

「うるせぇ。」

「変なものでも食ったのか?
明日雪降るかもな…」

「聖君の友達だったんだね。」

矢川君は少しめんどくさそうな顔をしているけど、仲よさそうに見える。

「まぁな!
な?悠真。
もしかして推薦されたのか?」

何も答えない悠真君に思いっきり肩を落とす聖君。
なんか聖君が可哀想に見えてきた…。

「みんな手を挙げなくて、それで皆に気を使ってくれて矢川君が手を挙げてくれたの。」

矢川君の代わりにコッソリ教えて挙げた。
矢川君が本当は優しいって少しだけ分かった。

「へぇ。
あの悠真がねぇ。
なるほど。」

「何がだよ。
城崎変なこと教えるな」

怒らせちゃった?
少し頬を膨れさせながら私を軽く睨んでいる矢川君。少しだけ頬が赤いのは気のせい…?

「ごめんなさい。矢川君。」

どうしよう。怒らせてしまった。
怒らせるつもりなんてなかったのに。

「え…べっつに、怒って、ねぇから。
謝んなくていい」

目を逸らしながらそう言う矢川君に少しだけホッとした。
怒ってなかった。
よかった。

「天ちゃん。
普段からこんな感じだから気にしなくていいよ。
こいつ恥ずかしがり屋なんだよ」

ニコニコと笑いながら言う聖君に首をかしげると、矢川君は『うるせぇな』と呟き拗ねたように横を向いてしまった。
もしかして、いつも冷たいのって恥ずかしいから…?

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