クールで強引な王子様


「ちょっと、友達が登校してきたのに気づかないし、少しニヤついてて気持ち悪いんだけど」

「え!?智恵!おはよ!」

いつの間にか智恵が私の後ろの席に座っていた。
ニヤついてないよ…?きっと…。

「はよはよ。
なんかいいことでもあったの?」

「え!?
な、ないよ!」

だって矢川君が朝の挨拶をしてくれたのもきっと気まぐれだし…。

「そっ、まぁ、いいやぁ。
そういえば今日雨降るらしいね。
私さっき気づいて傘持ってくるの忘れたんだよね。
天折りたたみ傘ある??お願い!
雨降ったら貸して!パフェ奢るから」

顔の前で手を合わせる智恵。
私は今日、ちゃんと傘を持ってきたし、折りたたみ傘はスクバの中にいつも入っている。

「うん。いいよ。
パフェね!」

…………………………

そして予報通り、お昼には雨が降り始め、放課後になっても雨は止まなかった。


「天ごめん!
借りるね!」

智恵は彼氏との約束があるらしく先に出て行ってしまった。
智恵の彼氏は一つ上の先輩ですごく優しい人らしい。
今度紹介してもらおっ。

私も学校のを出て帰宅道をゆっくり歩き出した。
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