彼岸花。
「もっと、早かったらな...」


「...え?」


お父さんは下を向き、小さな声で言った。


「もっと...もっと病気を早く見つけてやれてたら、


何か変わってたかもしれなかった...!」


本当に悔しかったと思う。


「...すみません。僕が1番傍にいたのに」


どうして、何も気づけなかったんだろう。


大学も一緒で、帰りも、何もするにも一緒だった。


彼女の『辛い』の一言も、『助けて』の気持ちも、何も気づけなかった。


それに、彼女も何も言ってくれなかった。


そんなにも僕は無力で、頼れる存在ではなかったのかと自分を責めた。


「本当に、申し訳ありませんでした」


「いや、悠くんが悪いわけじゃないよ。あれは、あのこの運命だったんだ」


「でも...!...それでも、僕は彼女の運命を...変えてあげたかったです...」


「あの子の大切な人が、悠くんでよかったよ」
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